建設業許可の法人成り引継ぎ|承継認可(法17条の2)で空白期間なく承継する実務【2026年版】
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建設業許可の法人成り引継ぎ|承継認可(法17条の2)で空白期間なく承継する実務【2026年版】

2026年7月29日21分で読める

個人事業主が法人成りしても建設業許可は自動では引き継がれず、法人設立(効力発生日)の前日までに建設業法第17条の2の承継認可を受けることで、許可番号と経営事項審査の結果を空白期間なく法人へ引き継げます。行政書士が受任する際にまず顧客へ伝えるべきは「会社を設立した瞬間に許可も移る」という誤解の否定です。承継認可を経ない法人成りは、個人の許可が失効し法人が無許可状態に陥るため、500万円以上の工事受注や入札参加が止まる重大リスクになります。本記事は会社設立の一般論には踏み込まず、承継認可の申請フロー・効力発生日からの期限逆算・承継日時点の常勤性と社会保険加入日の整合という、受任者が押さえるべき実務に絞って解説します。

法人成り承継の全体像フロー図
法人成り承継の全体像フロー図

結論:法人成りで許可を引き継ぐには効力発生日前日までの承継認可(法17条の2)が必須

法人成りで建設業許可を空白なく引き継ぐ唯一の方法は、法人の効力発生日の前日までに承継認可を受けることです。新規取り直しでは許可番号が変わり空白期間が生じます。

法人成りは「譲渡及び譲受け」に該当し、事前認可なしでは許可は消える

個人事業主の許可はその個人に紐づくため、法人を設立しても許可は法人へ自動移転しません。個人が営む建設業を新設法人へ引き継ぐ法人成りは、建設業法上の事業の全部譲渡(譲渡及び譲受け)に該当します。この譲渡について、あらかじめ建設業法第17条の2の事前認可(令和2年10月1日施行)を受けたときに限り、法人が個人の地位を承継できます(建設業法第17条の2国土交通省 建設業者の地位の承継について)。行政書士は受任の初回面談で「法人設立イコール許可承継ではない」ことを顧客に明言し、承継認可の要否を最初に切り分けます。なお法人が承継後も許可を保有し続けるには、法人自体が建設業許可の要件を満たしていることが前提です。

承継認可と「法人で新規取り直し」の決定的な違い

承継認可なら許可番号と経営事項審査(経審)の結果を空白期間なく引き継げます。一方、法人で新規に許可を取り直す場合、許可番号が変わるうえ審査期間中の空白期間が生じ、経審結果も引き継げないため、入札参加資格や公共工事の受注に直接影響します。両者の差は次のとおりです。

項目承継認可(法17条の2)法人で新規取り直し
許可番号そのまま引き継ぐ新しい番号に変わる
空白期間生じない(連続)認可日まで生じる
経審結果引き継げる引き継げない
入札参加への影響影響を抑えられる実績・格付けに影響
承継認可と新規取り直しの比較図
承継認可と新規取り直しの比較図

行政書士が受任する承継認可の申請フローと期限の逆算

承継認可は効力発生日という一点の締切から逆算して段取りする案件です。使う様式と申請先、受付期限、先に固める項目を受任時に確定させます。

使う様式と申請先

法人成り(生前の事業全部譲渡)で用いるのは、譲渡及び譲受け認可申請書(様式第22号の5)と、健康保険等の届出に関する誓約書(様式第22号の6)です(千葉県 建設業許可の承継の手引(令和7年4月版))。これらを譲受人(法人)の管轄行政庁へ提出します。ただし様式番号の枝番・添付書類・提出部数は申請先の都道府県により差があるため、受任した案件の管轄行政庁の最新の手引きで必ず一次確認してください。国土交通大臣許可と知事許可、業種構成によっても添付資料は変わります。

効力発生日から逆算する提出タイミング

承継の効力発生日(承継日)の前日までに認可を受けている必要があります(関東地方整備局 事業承継等の事前認可制度)。認可には審査期間を要するため、多くの自治体では効力発生日の一定期間前(例:30日前)までに申請を受け付ける運用です。この受付期限は自治体差が大きいため、管轄行政庁の手引きで個別に確認します。逆算の起点は常に効力発生日であり、「認可取得=前日まで」「申請提出=受付期限まで」「書類収集=それより前」と締切を後ろから積み上げます。

効力発生日から逆算するタイムライン図
効力発生日から逆算するタイムライン図

受任時に顧客から先に確定させる項目

逆算を機能させるには、受任の初動で次の4項目を顧客と固めます。(1)法人の設立予定日(=効力発生日)、(2)承継する業種、(3)経営業務管理責任者・営業所技術者等になる人、(4)営業所です。とくに設立日が動くと逆算スケジュール全体が崩れるため、設立登記を担う司法書士の登記スケジュールと連動させて管理します。設立登記そのものは行政書士の業務範囲外のため、登記の確定日を連携で押さえたうえで認可申請の締切を組みます。

承継日時点の常勤性・社保加入日の整合という落とし穴

承継認可で見落とされやすいのが「承継日時点」で要件を満たしているかという時点管理です。個人時代の実績があっても、法人での常勤性を承継日に書類で示せないと認可は下りません。

承継日時点で法人に常勤していることが要件

経営業務管理責任者・営業所技術者等は、承継の効力発生日時点で承継先(法人)に常勤していることが求められます。個人事業時代に長年の常勤実績があっても、それは個人の許可を支えた実績であり、法人として認可を受けるには法人での常勤性を別途疎明する必要があります。要件そのものの詳細な判断基準は、経営業務管理責任者の要件営業所技術者等の要件の各記事に譲りますが、承継案件では「承継日に法人で常勤している状態を作れているか」が固有の論点になります。

社会保険の加入日と承継日の整合

法人は社会保険が原則として強制加入であり、常勤性の裏付けとして健康保険・厚生年金の加入日が問われます。設立直後で社会保険の加入手続きが承継日に間に合わないと、常勤性の疎明が崩れて認可に支障が出ます。承継日を基準に、法人での常勤開始日・社会保険の資格取得日・役員就任日の3つが整合しているかを事前に突き合わせておくことが重要です。行政書士は設立日と社会保険の加入手続きの前後関係を、司法書士・社会保険手続きの担当と連携して調整します。

承継日を基準にした常勤性・社保加入日の整合チェックリスト表
承継日を基準にした常勤性・社保加入日の整合チェックリスト表

顧問先の許可を空白なく守る期限・進捗の仕組み化

承継はゴールではなく、法人としての期限管理の起点です。許可番号を引き継いだ後に法人側で新たに走り出す期限を取りこぼさない仕組みが、顧問先を空白なく守り続ける鍵になります。

承継後に法人側で走り出す期限を取りこぼさない

承継で許可番号を引き継いだ後は、法人としての初回の決算変更届(事業年度終了後4ヶ月以内)・5年ごとの更新・各種変更届が新たに走り出します。個人時代の期限管理を分断せず法人の許可情報として引き継いで管理し続けることが、無届失効を防ぐ前提です。建設業許可HUB(行政書士事務所向けCRM)は、許可番号・有効期限・経営業務管理責任者・営業所技術者等をマスタ管理し、更新と決算変更届の期限を自動計算して90日前・60日前・30日前の多段アラートで通知する設計です(出所:建設業許可HUB 期限自動計算・多段アラート仕様)。承継後に法人側で発生する初回の期限も分断せず継続管理できます。承継後の各種変更届の期限そのものは別記事にまとめています。

許可番号引継ぎ後のマスタ管理・多段アラート画面イメージ
許可番号引継ぎ後のマスタ管理・多段アラート画面イメージ

申請書類の再利用で法人成り案件の工数を抑える

承継認可申請では、役員等一覧・営業所一覧・技術者一覧といった書類を法人分として作成し直す必要があります。建設業許可HUBは29業種マスタと書類再利用の設計により、これらを既存の顧客データから再利用でき、法人成り案件の申請書作成工数を抑えられます(出所:建設業許可HUB 29業種マスタ/書類再利用仕様)。承継後も同一の許可番号のまま、個人時代からの許可情報を法人の許可として一元管理を継続できる点が、複数顧問先を抱える事務所の運用負荷を下げます(出所:建設業許可HUB マスタ管理仕様)。

よくある質問

Q1. 法人成りすれば建設業許可は自動的に法人へ引き継がれますか。

A. 引き継がれません。個人の許可は個人に紐づくため、法人が許可を引き継ぐには法人設立(効力発生日)の前日までに建設業法第17条の2の承継認可を受ける必要があります(出典:建設業法第17条の2国土交通省 建設業者の地位の承継について)。

Q2. 承継認可を受けるのと、法人で新規に許可を取り直すのは何が違いますか。

A. 承継認可なら許可番号と経営事項審査の結果を空白期間なく引き継げます。新規取得は許可番号が変わり、認可日までの空白期間が生じ、経審結果も引き継げないため入札参加に影響します(出典:国土交通省 建設業者の地位の承継について)。

Q3. 承継認可の申請はいつまでに出せばよいですか。

A. 承継の効力発生日(承継日)の前日までに認可を受けている必要があり、多くの自治体で効力発生日の一定期間前(例:30日前)までに申請を受け付けます。受付期限は自治体差があるため管轄行政庁の手引きで確認します(出典:関東地方整備局 事業承継等の事前認可制度)。

Q4. 個人事業主である顧客が亡くなった場合はどうなりますか。

A. 相続の認可(建設業法第17条の3)を、被相続人の死亡後30日以内に申請します。認可申請をすれば認可・不認可の処分がある日まで相続人が建設業者とみなされ、空白なく承継できます(出典:建設業法第17条の3)。

Q5. 承継が済んだ後、法人で必要になる届出はありますか。

A. 承継後は法人として、経営業務管理責任者・営業所技術者等の変更は2週間以内、役員・商号・営業所・資本金の変更は30日以内など、通常の変更届の期限が走り出します。詳細は変更届の期限の記事を参照します。

まとめ

法人成りの許可引継ぎは「効力発生日の前日までの承継認可(建設業法第17条の2)」が肝であり、法人設立そのものでは許可は移りません。行政書士が押さえるべきは、譲渡及び譲受け認可申請書(様式第22号の5)等の様式と管轄行政庁の受付期限、効力発生日からの期限逆算、そして承継日時点の常勤性と社会保険加入日の整合です。これらを受任の初動で固めれば、許可番号と経審結果を空白なく法人へ引き継げます。さらに承継後に法人で走り出す決算変更届・更新・各種変更届の期限管理まで仕組みで担保すれば、顧問先を継続的に守れます。


法人成りの許可承継を空白なく

建設業許可HUBは、許可番号・有効期限・経営業務管理責任者・営業所技術者等をマスタ管理し、29業種に対応。5年更新と決算変更届の期限を自動計算し、90日前・60日前・30日前の多段アラートで承継後の期限取りこぼしを防ぎます。

料金・機能の詳細や無料での製品体験については、お問い合わせからご案内しています。

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