
営業所技術者等(旧:専任技術者)の要件|資格・実務経験での証明を行政書士向けに解説【2026年版】
営業所技術者等(旧称:専任技術者)の要件は、国家資格・指定学科卒業+実務経験・10年以上の実務経験のいずれかで証明する、というのが結論です。営業所技術者等とは、営業所ごとに常勤で配置が必要な、建設業許可の根幹要件を担う技術者を指します。行政書士が新規受任時に最初に詰まりやすいのが、この技術者を「誰にするか」と「何の資料で経験を証明するか」の確定です。
本記事では、行政書士が顧客の建設業者に対して営業所技術者等の要件を確認する実務に絞り、3つの証明ルート、業種別の対応資格・実務経験年数の早見表、そして実務経験10年で証明するときの確認資料と差し戻しパターンまでを一次情報で整理します。許可要件全体の俯瞰は〔建設業許可の要件 完全ガイド〕、年間実務の全体像は〔行政書士の建設業許可業務 完全ガイド〕で補ってください。

営業所技術者等とは|建設業許可における位置づけ
営業所技術者等とは、許可を受けようとする建設業について一定の資格または実務経験を持ち、営業所ごとに常勤で配置される技術者です。許可要件5区分(経営業務管理責任者・営業所技術者等・財産的基礎・誠実性・欠格要件非該当)の1つを担い、経管とともに「人の要件」の中核を構成します。許可要件全体は〔建設業許可の要件 完全ガイド〕で扱うため、本記事は営業所技術者等の論点に絞ります。
定義と「営業所ごと常勤」要件
営業所技術者等は、建設業法第7条第2号に根拠を持つ要件で、申請する業種ごとに資格・経験の基準が定められています。重要なのは「営業所ごとに常勤」である点です。複数の営業所がある場合は、各営業所にそれぞれ要件を満たす技術者を常勤で置く必要があります。
混同しやすいのが、現場に配置する主任技術者・監理技術者との違いです。営業所技術者等は許可要件として営業所に常勤する役割であり、現場に出ずっぱりになる現場配置技術者とは別概念です。なお2024年の国土交通省の整理で、従来の「専任技術者」は一般建設業=営業所技術者、特定建設業=特定営業所技術者を含む「営業所技術者等」という表現に整理されました。実務では旧称「専任技術者」も併用されます。
なぜ行政書士が確認するのか|受任時に最初に詰まる論点
行政書士が新規受任で最初に確認するのは、この営業所技術者等を「誰にするか」です。経営業務管理責任者(経管)が経営面の要件を担うのに対し、営業所技術者等は技術面の要件を担います。経管の常勤性・経験年数の要件は〔経営業務管理責任者(経管)の要件と証明方法〕を参照してください。
技術者候補が国家資格を持っていれば証明は比較的容易ですが、資格がなく実務経験で証明する場合は、過去の工事の契約書や入金記録を揃えられるかが受任可否を左右します。受任時のヒアリングで「資格の有無」「実務経験を証明できる資料が手元にあるか」まで確認しておくことが、後の手戻りを防ぐ鍵です。
営業所技術者等になれる3つの証明ルート
営業所技術者等の要件は、(1)国家資格・技術検定、(2)指定学科卒業+実務経験、(3)実務経験10年、の3ルートのいずれかで証明できます。どのルートでも、申請する業種に対応していることが前提です。

| 証明ルート | 必要なもの | 実務経験年数 | 確認資料の主な例 |
|---|---|---|---|
| ルート1 国家資格 | 業種に対応する国家資格・技術検定 | 不要 | 合格証明書・免許証・資格者証 |
| ルート2 指定学科+実務 | 指定学科の卒業+実務経験 | 高卒5年・大卒等3年 | 卒業証明書+実務経験証明書 |
| ルート3 実務経験10年 | 当該業種の実務経験のみ | 10年 | 実務経験証明書+裏付け資料 |
ルート1|国家資格・技術検定で証明する
最も確実なのが国家資格・技術検定での証明です。1級・2級建築施工管理技士、建築士、技術士、電気工事士など、業種ごとに有効な資格が定められています。この場合は実務経験年数の証明が原則不要となり、合格証明書や免許証の写しで証明が完結します。資格と業種の対応は建設業法第7条第2号および別表に基づくため、申請業種に対して有効な資格かを必ず突合します。
ルート2|指定学科卒業+実務経験で証明する
国家資格がなくても、許可業種に対応する指定学科を卒業していれば、実務経験を短縮して証明できます。年数の目安は、高校の指定学科卒業+実務経験5年、大学・高専の指定学科卒業+実務経験3年です。卒業証明書で学歴を、実務経験証明書とその裏付け資料で経験を証明します。指定学科に該当するかは都道府県の手引きで業種ごとに確認します。
ルート3|実務経験10年で証明する(資格なしの場合)
資格も指定学科卒業もない場合は、当該業種の実務経験10年で証明します。実務上、最も資料収集が重くなるのがこのルートです。10年分の工事に携わったことを契約書・注文書・入金記録などで証明する必要があり、年数が長いほど資料の保存状況に左右されます。詳しい確認資料と難所は後段で扱います。
業種別 早見表|国家資格と実務経験年数の対応
代表的な業種について、対応する主な国家資格と実務経験年数を整理します。下表は建設業法第7条第2号および国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」をもとに当社が横断整理した早見表です(前提=一般建設業の営業所技術者等の場合)。正確な資格区分は最新の都道府県手引きで確認してください。

主要業種の対応資格・年数早見表の見方
| 業種(代表例) | 対応する主な国家資格・技術検定 | 指定学科+実務経験 | 実務経験のみ |
|---|---|---|---|
| 建築一式 | 1級・2級建築施工管理技士、建築士 | 高卒5年・大卒3年 | 10年 |
| 土木一式 | 1級・2級土木施工管理技士、技術士 | 高卒5年・大卒3年 | 10年 |
| 電気工事 | 電気工事施工管理技士、電気工事士、技術士 | 高卒5年・大卒3年 | 10年 |
| 管工事 | 管工事施工管理技士、技術士 | 高卒5年・大卒3年 | 10年 |
| 内装仕上 | 建築施工管理技士、技能検定(内装仕上げ施工等) | 高卒5年・大卒3年 | 10年 |
年数の目安は共通でも、業種ごとに有効な国家資格・技能検定の種類が異なります。表の資格名はあくまで代表例で、技能検定の場合は等級や合格後の実務経験を求められるケースもあるため、業種と資格の対応は必ず手引きで突合してください。
一般建設業と特定建設業で異なる要件
特定建設業では、営業所技術者等(特定営業所技術者)の要件が一般より重くなります。1級国家資格者、または指導監督的実務経験(元請として4,500万円以上の工事で2年以上)等が求められます。特に指定建設業7業種(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)は、特定建設業では1級国家資格者等が必須で、指導監督的実務経験のみでは認められません。
| 区分 | 求められる資格レベル | 指導監督的実務経験の要否 |
|---|---|---|
| 一般建設業 | 国家資格・指定学科+実務・実務10年のいずれか | 不要 |
| 特定建設業 | 原則1級国家資格者等 | 指定建設業7業種以外は実務経験での代替に要 |
特定建設業が必要になるのは、元請として下請に出す代金の総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)の場合です。この金額は2025年2月1日施行の現行値で、旧値の4,500万円・7,000万円は使いません。
実務経験10年で証明するときの確認資料と難所
実務経験10年での証明は、行政書士が顧客の資料収集を最も手伝う必要がある場面です。求められるのは「当該業種の工事に10年従事したこと」と「その期間その事業者に常勤していたこと」の両面の裏付けです。

必要な確認資料|契約書・注文書・入金記録と常勤性資料
実務経験の裏付け資料は、収集の難易度で整理すると顧客への依頼が組み立てやすくなります。下表は当社が確認資料を難易度別に類型化したものです(前提=建設業法第7条第2号の実務経験要件。なお要件の本体は本記事、確認資料の収集手順の詳細は別記事に整理しています)。
| 難易度 | 確認資料の例 | ねらい |
|---|---|---|
| 比較的容易 | 工事請負契約書・注文書/請書 | 当該業種の工事への従事を証明 |
| 中程度 | 工事代金の入金記録(通帳・請求書控) | 契約の実在と工事実績を補強 |
| 難所 | 在籍期間の常勤性確認資料(健康保険・厚生年金記録、住民税特別徴収など) | 10年間その事業者に常勤したことを証明 |
国家資格ルートと比べて、確認資料の現物確認を技術者退職前にどこまで残せるかが成否を分けます。
建設業許可HUBは、顧客ごとの営業所技術者等の資格・有効期限をマスタ管理し、技術者の退職・配置替えによる把握漏れを防ぐ設計です。資格と業種の対応を顧客台帳上で管理できる設計のため、要件欠如のリスクを早期に把握しやすくする狙いです。
資料が揃わないときに起きやすい差し戻しパターン
実務経験10年の証明でつまずく典型は、契約書や注文書が一部の年で欠落しているケースです。10年連続の工事実績を示せないと、欠落期間を別資料で補う必要が生じ、申請が止まります。また常勤性の資料が当時の在籍企業からしか入手できず、協力が得られないと証明が困難になることもあります。受任時に「証明できる年数」と「手元資料の有無」を年単位で棚卸ししておくことで、こうした差し戻しの余地を減らせます。確認資料の集め方の詳細は別記事に譲ります。
よくある質問
Q. 営業所技術者等(専任技術者)は実務経験だけで証明できますか?
A. 証明できます。当該業種の実務経験10年があれば、国家資格や指定学科卒業がなくても営業所技術者等の要件を満たせます(建設業法第7条第2号)。ただし10年分の契約書・注文書・入金記録と常勤性の確認資料が必要で、資料が揃うかが実務上の壁になります。
Q. 営業所技術者等は他社や他の営業所と兼任できますか?
A. できません。営業所技術者等は営業所ごとに常勤で配置することが要件のため、他社との兼任や他の営業所との兼務は原則認められません。常勤性を欠くと要件欠如となり、許可の取消し対象になり得ます。
Q. 営業所技術者等が退職したら建設業許可はどうなりますか?
A. 後任が不在のまま要件を欠くと許可の取消し対象になります。退職前に後任を確保し、変更後2週間以内に変更届を提出する必要があります。技術者の退職・配置替えの把握漏れが許可維持の最大のリスクです。
Q. 営業所技術者等と経営業務管理責任者は同一人物が兼ねられますか?
A. 同一営業所で常勤していれば、要件を両方満たす1人が経管と営業所技術者等を兼ねることは可能とされています。ただし両要件を別々に充足していることの証明が必要です。経管側の要件は〔経営業務管理責任者(経管)の要件と証明方法〕を参照してください。
まとめ
営業所技術者等(旧称:専任技術者)の要件は、国家資格・指定学科卒業+実務経験・実務経験10年の3ルートのいずれかで証明します。国家資格があれば実務経験年数の証明は原則不要で最も確実、資格がない場合は10年分の確認資料収集が成否を分けます。特定建設業や指定建設業7業種では要件が重くなる点にも注意が必要です。行政書士としては、受任時に技術者候補の資格の有無と手元資料を業種ごとに突合し、要件欠如や差し戻しの余地を早めにつぶしておくことが要です。

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