
建設業許可の許可換え新規とは|行政書士が代行する知事・大臣切替の実務【2026年版】
許可換え新規とは、顧客の営業所新設・移転で許可行政庁(知事⇔大臣)が変わる際に、行政書士が新規と同等の申請一式を新しい行政庁へ提出して許可を取り直す手続きで、従前の許可は新許可が下りるまで有効なため申請中に許可の空白は生じない。行政書士がこの手続きを受任する引き金は、顧問先の県外進出・支店開設・本店移転であることが多い。取り直しとはいえ書類量と要件審査は新規と同等で、手数料も知事許可9万円・大臣許可15万円が新たに発生する。行政書士の建設業許可業務 の一環として受任し、受任トリガーの検知から申請、切替後の期限管理台帳の再設定までを一貫して担うのが顧問実務の型である。本記事はその動線に沿って、許可換え新規の実務ポイントを整理する。

許可換え新規が必要になる場面と受任の見極め
許可換え新規は、建設業許可の手続き全体像 のなかでも「許可行政庁そのものが変わる」特殊な新規申請にあたる。行政書士が受任判断を誤らないためには、どの動きが引き金になるかを先に押さえておく必要がある。
許可換えの3つのパターン
営業所が2以上の都道府県にあれば国土交通大臣許可、1つの都道府県のみなら都道府県知事許可となる(建設業法第3条第1項)。この区分が変わると許可換え新規が発生し、実務上は次の3類型に整理できる。
| 類型 | 受任のきっかけ | 変化する行政庁 |
|---|---|---|
| 知事許可 → 大臣許可 | 他都道府県に営業所を新設し2以上になった | 知事から国土交通大臣へ |
| 大臣許可 → 知事許可 | 他県の営業所を廃止し1都道府県に集約した | 大臣から知事へ |
| 知事許可 → 別の知事許可 | 本店ごと別の都道府県へ移転した | A県知事からB県知事へ |
営業所の独立性・常勤性といった実体要件(従たる営業所の設置基準など)は別記事で扱うため、ここでは「都道府県をまたぐ配置の変化」だけを許可換えの判定軸とする。
顧客の県外進出・営業所移転を受任前に検知する
許可換え新規は、顧客が動いてから慌てて着手すると審査期間に間に合わないことが多い。行政書士は、顧問先が他県で受注し始めた新規現場の情報や、支店開設・事務所移転の相談を、許可換えの前兆として拾うことが実務の勘所になる。たとえば「隣県の元請から継続的に声がかかっている」「県外に常駐者を置く話が出ている」という会話は、近い将来の営業所新設=許可換えのサインである。CRMや期限管理台帳に許可行政庁と営業所所在地をマスタ登録しておけば、営業所が1都道府県から2以上へ増える瞬間をトリガーとして可視化でき、受任前の先読みが可能になる。

業種追加・般特新規・更新との取り違えを防ぐ
同じ「新規」でも、許可換え新規は許可行政庁が変わる点で他の申請区分と決定的に異なる。業種を増やすだけなら 業種追加の申請実務、一般から特定へ移るなら 般特新規の手続き が該当し、いずれも許可行政庁は変わらない。営業所の都道府県配置は同じまま5年ごとに更新するのは 更新申請 である。受任時に「行政庁が変わるか/業種が変わるか/期間の満了か」を切り分けることで、区分の取り違えによる手戻りを防げる。
許可換え新規の申請実務(書類・手数料・提出先)
許可換え新規は「事実上の新規申請」であり、提出書類・要件審査は新規許可とほぼ同じボリュームになる。行政書士は新しい行政庁の様式・部数を確認したうえで、許可の各要件を新所在地ベースで再証明する。
新規と同等の申請書類一式
提出するのは建設業許可申請書(建設業法施行規則 様式第一号)を筆頭とする新規と同一の様式一式で、経営業務の管理責任者・営業所技術者等・財産的基礎を裏づける確認資料も新たにそろえ直す。従前の許可があるからといって書類が省略されるわけではなく、常勤性・専任性・財産要件はいずれも新しい所在地・体制を前提に証明する。様式番号や部数、添付書類の細目は提出先である都道府県または地方整備局の建設業許可申請手引で最新版を確認する(版によって様式が更新されるため、着手時に手引で照合するのが確実である)。
手数料と提出先
手数料は許可換え後の行政庁で決まり、納付方法も異なる。知事許可への許可換え新規は9万円で都道府県収入証紙、大臣許可への許可換え新規は15万円で登録免許税として納付する。
| 許可換え後の行政庁 | 手数料 | 納付方法 | 提出先 |
|---|---|---|---|
| 都道府県知事許可 | 9万円 | 都道府県収入証紙 | 主たる営業所を所管する都道府県 |
| 国土交通大臣許可 | 15万円 | 登録免許税 | 本店を所管する地方整備局長 |
新規許可の手数料区分に準じており、更新(知事5万円)とは金額も納付方法も異なる点に注意する(各行政庁の手数料一覧による)。

審査期間と従前許可の効力
標準処理期間はおおむね2〜3ヶ月(知事許可で30〜45日、大臣許可で90日程度)が目安となる。重要なのは、この審査期間中も従前の許可は有効で工事を請けられる点である。許可換え新規は申請日時点で建設業許可が有効であることが前提で、新しい許可が下りると同時に旧許可が失効する。つまり「取り直し」でありながら無許可となる空白期間は生じない仕組みで、行政書士はこの点を顧客に正確に伝えることで、審査中の受注や入札参加の不安を解消できる。

許可の空白を作らないスケジュール設計と顧客説明
許可換え新規は「空白は出ないが有効期限はリセットされる」という二つの性質を持つ。行政書士は、この性質を前提にスケジュールと顧客説明を設計し、切替後の期限管理まで引き継ぐ。
審査2〜3ヶ月を前提にした逆算スケジュール
申請から新許可まで2〜3ヶ月かかるため、顧客の県外現場の着工予定や入札の資格審査基準日から逆算して着手時期を決める。営業所新設の登記・賃貸契約など前提となる実体づくりにも時間を要するので、実務上は着工希望の3〜4ヶ月前には受任し、書類収集を始めたい。更新時期が近い場合は、更新申請と許可換え新規を別々に走らせるより、許可行政庁が変わるタイミングを見て許可換え新規に一本化するほうが手続きが整理される(更新は満了日の30日前まで)。
新許可で有効期限がリセットされる論点を顧客に説明する
許可換え新規は、更新申請 とは別に有効期限がリセットされる点が顧客の誤解を生みやすい。許可の有効期間は5年だが、許可換え新規では新しい許可日を起点に新たに5年が付与され、従前許可の残存期間は引き継がれない。たとえば残り2年で許可換えをすると、その2年は消えて更新サイクルの起点が新許可日にそろう。顧客には「取り直しなので更新の数え直しになる」と早めに説明し、次回更新時期の変更を共有しておくことが、後日の期限トラブルを防ぐ。
切替後の期限管理台帳の再設定
許可換え新規で許可行政庁・許可番号・有効期限がすべて変わるため、期限管理の実務 では台帳の再設定が欠かせない。旧許可番号のまま放置すると、5年更新や決算変更届(事業年度終了後4ヶ月以内)のアラートが古い日付で鳴り続ける。建設業許可HUBは顧客ごとに許可番号・有効期限・許可行政庁・営業所・経管・営業所技術者等をマスタ管理し、許可換えで許可日が変わっても新許可日を基準に5年更新と決算変更届の期限を自動で再計算し、90日前・60日前・30日前の多段アラートを再設定する。県外営業所の新設も営業所マスタに記録され、1都道府県から2以上への変化=許可換えのトリガーを顧客管理上で先読みできる(出所=建設業許可HUB製品仕様・一次情報)。

よくある質問(FAQ)
Q1. 許可換え新規の申請中、従前の許可で工事を請けてよいですか?
A. 請けられます。許可換え新規を申請しても、新しい許可が下りるまで従前の許可は有効で、許可決定と同時に旧許可が失効するため、無許可となる空白期間は生じません(国土交通省・各都道府県の建設業許可申請手引による)。
Q2. 許可換え新規をすると有効期限はどうなりますか?
A. 新しい許可日を起点として、新たに5年間の有効期間が付与されます。従前の許可の残存期間は引き継がれないため、更新のサイクルは切替後にリセットされます(有効期間5年・更新は満了30日前まで)。
Q3. 手数料はいくらかかりますか?
A. 知事許可への許可換え新規は9万円(都道府県収入証紙)、大臣許可への許可換え新規は15万円(登録免許税)です(各行政庁の手数料一覧による)。
Q4. 大臣許可と知事許可を切り替えると許可番号は変わりますか?
A. 許可行政庁が変わるため、新しい行政庁で新たな許可番号が付与されます(従前番号は引き継がれません)。なお、事業譲渡・合併・相続による「承継認可」は許可番号・許可の地位を空白なく引き継ぐ別制度で、許可換え新規とは異なります(建設業法第17条の2・第17条の3)。
Q5. 審査にはどのくらいかかりますか?
A. 行政庁により差はありますが、おおむね2〜3ヶ月が目安です。顧客の県外現場・入札の予定から逆算し、余裕を持って申請することが実務上の要点です(各行政庁の標準処理期間による)。
まとめ
許可換え新規の実務の勘所は二つに集約される。第一に、審査中も従前許可は有効で「取り直しだが許可の空白は出ない」こと。第二に、新許可日を起点に有効期限が新たに5年へリセットされることである。行政書士は、顧問先の県外進出・営業所移転という受任トリガーを先読みで検知し、審査2〜3ヶ月を前提に逆算して申請し、切替後は許可番号・有効期限・許可行政庁を台帳に反映して更新・決算変更届の期限を再設定する。この一連の動線を顧問実務の型として持つことが、顧客の許可を途切れさせない要点になる。
許可換えの期限リセットを取りこぼさない
建設業許可HUBは29業種の許可番号・有効期限・許可行政庁・経管・営業所技術者等をマスタ管理し、許可換え新規で許可日が変わっても新許可日を基準に5年更新・決算変更届の期限を自動再計算し、90日前・60日前・30日前の多段アラートを再設定します。
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