建設業許可の相続認可|行政書士が担う30日以内の受任実務と必要書類【2026年版】
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建設業許可の相続認可|行政書士が担う30日以内の受任実務と必要書類【2026年版】

2026年7月25日23分で読める

建設業許可の相続認可とは、個人事業主だった被相続人の死亡後30日以内に相続人が認可申請することで、許可番号や経営事項審査の結果を空白期間なく引き継ぐ手続き(建設業法第17条の3)であり、行政書士は30日の逆算タイムライン管理・他相続人の同意取得・経営業務管理責任者/営業所技術者等の要件再充足確認・様式第22号の10の作成までを顧客に代わって担う。カギは、死亡という予測できない起点から30日という短い期限を逆算し、要件を満たす相続人を見極めて書類をそろえきる段取り力にある。本記事は、都道府県の「承継の手引」が制度と様式の羅列にとどまる部分を補い、死亡直後から認可までを1本の受任フローとして整理する。

相続認可の全体像タイムライン。被相続人の死亡から30日以内の相続認可申請、審査、認可までを承継とみなし許可番号と経審結果を継承する流れ
相続認可の全体像タイムライン。被相続人の死亡から30日以内の相続認可申請、審査、認可までを承継とみなし許可番号と経審結果を継承する流れ

建設業許可の相続認可とは(建設業法第17条の3)

相続認可は死亡後30日以内・認可まで「承継とみなす」制度

相続認可は、個人事業主の建設業者が亡くなったとき、相続人が死亡後30日以内に認可を申請する手続きです(建設業法第17条の3)。この期間内に申請すれば、認可までの間も相続人が被相続人の建設業者としての地位を承継したものとみなされ、許可の空白期間が生じません(出典:国土交通省)。事業承継等の事前認可制度として令和2年10月1日に施行された仕組みで、行政書士はまずこの「30日以内・認可まで承継とみなす」という骨格を顧客に正確に伝えることが起点になります。

事業承継認可(法17条の2)との違いは「事前か事後か」

同じ承継でも、法第17条の2(譲渡・合併・分割)は行為の前に受ける「事前」認可、法第17条の3(相続)は死亡後30日以内に受ける「事後」認可で、動くタイミングが根本的に違います。譲渡や合併は日程を組んで事前に準備できますが、相続は死亡という予測できない起点から時間が動き出します。この差が、相続案件で行政書士のスピードが問われる理由です。

事業承継認可と相続認可の比較表。法17条の2は譲渡合併分割を対象とする事前認可、法17条の3は相続を対象とする死亡後30日以内の事後認可
事業承継認可と相続認可の比較表。法17条の2は譲渡合併分割を対象とする事前認可、法17条の3は相続を対象とする死亡後30日以内の事後認可
項目事業承継認可(法17条の2)相続認可(法17条の3)
対象譲渡・合併・分割個人事業主の死亡による相続
タイミング行為の前(事前認可)死亡後30日以内(事後認可)
準備期間日程を組んで確保できる死亡起点で逆算が必要

承継対象は「地位・許可番号・経営事項審査の結果」

相続認可で引き継がれるのは、建設業者としての地位・許可番号・経営事項審査の結果です(出典:関東地方整備局)。許可番号が連続することで公共工事の入札参加資格への影響を最小化でき、経審結果も空白なく承継されます。顧客にとっての実益はこの「空白を作らない」点にあり、行政書士は受任時にこの効果を説明できると信頼につながります。手続き全体の位置づけは建設業許可の手続き全体の記事も参照してください。

30日を逆算する受任タイムライン

死亡直後は受任判断と要件の初期スクリーニング

相続案件を受任するかどうかは、死亡の時点で相続人が許可要件を立証できるかを最初に見極めて判断します。相続認可でも、相続人が経営業務管理責任者・営業所技術者等の要件を備え、死亡の時点でそれを立証できることが必要だからです(出典:国土交通省)。要件を満たす相続人が見当たらない案件を安易に受けると、30日を使い切ってから認可不可が判明する事故につながります。まず要件の初期スクリーニングを済ませてから受任契約に進むのが安全です。

30日逆算タイムライン。Day0死亡、Day1から3で受任と要件確認、Day4から15で同意取得と書類収集、Day16から28で申請書作成、Day30が申請期限
30日逆算タイムライン。Day0死亡、Day1から3で受任と要件確認、Day4から15で同意取得と書類収集、Day16から28で申請書作成、Day30が申請期限

申請者以外の全相続人から「一任」の同意を取る

相続人が複数いる場合、申請者以外の全相続人が、当該建設業を申請者に一任することへ同意していることが求められます(出典:東京都都市整備局)。実務で詰まりやすいのは、遠方の相続人や連絡の取りにくい相続人がいるケースです。誰が申請者になり、他の相続人にどの書面で同意を示してもらうかを死亡直後に確定し、30日以内に取り付ける段取りが行政書士側の要になります。

30日徒過リスクと駆け込み受任時の優先順位

30日を徒過すると認可を受けられず、被相続人の許可は失効します。駆け込みで受任した場合は、要件充足の確認・申請者と同意者の確定・様式第22号の10の作成を並行で進め、時間のかかる相続関係書類の収集を最優先で着手します。承継直後に到来しがちな更新申請や決算変更届などの期限を仕組みで管理する一般論は建設業許可の期限管理の記事に譲り、本記事では相続認可そのものの着手順に絞ります。

相続人が満たすべき許可要件の再充足確認

経営業務管理責任者の経験を相続人が持つか

相続人が経営業務管理責任者の要件を満たすかは、受任可否を左右する最重要の確認項目です。原則は経営経験5年・常勤ですが、令和2年10月の改正で、常勤役員等を直接に補佐する体制でも充足できる余地が広がりました(出典:国土交通省)。被相続人の事業を手伝っていた相続人の経験年数や常勤性を、死亡の時点でどう立証するかを組み立てます。要件の詳細な判定基準は経営業務管理責任者の要件の記事で確認してください。

要件再充足チェック表。経営業務管理責任者は経験5年か常勤か補佐体制、営業所技術者等は資格か指定学科プラス実務か10年実務かつ常勤を相続人が満たすかを確認
要件再充足チェック表。経営業務管理責任者は経験5年か常勤か補佐体制、営業所技術者等は資格か指定学科プラス実務か10年実務かつ常勤を相続人が満たすかを確認
要件主な充足パターン相続文脈での確認点
経営業務管理責任者経営経験5年・常勤、または補佐体制相続人の経験年数・常勤性を死亡時点で立証
営業所技術者等資格、指定学科+実務、または10年実務・常勤誰が常勤で担うかを確定

営業所技術者等(旧・専任技術者)の常勤性を誰が担うか

営業所技術者等(旧・専任技術者)は、資格・指定学科+実務経験・10年の実務経験のいずれかを満たし、営業所に常勤していることが必要です。相続では、被相続人本人がこの役割を担っていた小規模事務所ほど、後任を誰にするかが問題になります。相続人自身が資格を持つか、常勤できる従業員がいるかを死亡直後に洗い出します。要件の詳細は営業所技術者等の要件の記事を参照してください。

死亡時点で立証できないと認可不可

相続認可の落とし穴は、要件は「死亡の時点」で備わっていたことを立証する必要がある点です。死亡後に相続人が資格を取得しても、それだけでは死亡時点の充足を証明できません。経営業務管理責任者・営業所技術者等のいずれかを死亡時点で立証できない場合は許可要件を欠き、認可はできません。受任前の見極めでこのリスクを潰しておくことが、30日を無駄にしないための最初の関門です。

相続認可申請の必要書類と提出実務

様式第22号の10と誓約書(様式22号の11)

相続認可申請の中心書類は、相続認可申請書(様式第22号の10)です。あわせて相続用の誓約書(様式第22号の11)が必要になります(出典:千葉県)。誓約書は、承継後に建設業の地位を承継した者が誓約どおりの提出を行うことを担保するもので、認可後の届出とも連動します。様式番号を取り違えると差し戻しになるため、提出先の最新の手引で版を確認します。

必要書類チェックリスト。相続認可申請書は様式22号の10、誓約書は様式22号の11、相続関係書類、経管と営業所技術者等の確認資料を並べたリスト
必要書類チェックリスト。相続認可申請書は様式22号の10、誓約書は様式22号の11、相続関係書類、経管と営業所技術者等の確認資料を並べたリスト

相続関係・他相続人の同意を示す添付書類

様式に加えて、相続関係を示す戸籍などの書類と、申請者以外の相続人の同意を示す書面が必要です。相続関係書類や要件確認資料の具体的な様式・部数は都道府県で異なるため、提出先の承継の手引で一次確認します(出典:千葉県)。戸籍の収集は時間がかかるため、死亡直後に着手する書類として最優先で動きます。

条件付き認可と承継後の許可番号・更新期限の継続管理

一部の資料が30日以内にそろわない場合でも、条件付きで認可し後日提出とする運用がとられることがあり、提出先ごとの取扱いを事前に確認します。認可後は、承継した許可番号を途切れさせず、次回更新や決算変更届の期限を継続管理する体制が要になります。建設業許可HUBは、この後工程の一次情報として次の機能を備えます。

機能相続認可の後工程での使いどころ出所
マスタ一元管理許可番号・有効期限・経管・営業所技術者等を台帳で管理し、承継後も許可番号の連続性を途切れさせない建設業許可HUB マスタ管理仕様
期限自動計算・多段アラート5年更新・決算変更届(決算終了後4ヶ月)を自動計算し90/60/30日前に通知、承継直後の失念を防ぐ建設業許可HUB 期限自動計算/多段アラート仕様

なお、相続認可の30日期限自体はイレギュラーな事象であり、HUBの期限自動計算の対象ではありません。自動化できるのは承継後に定期到来する更新・決算変更届などの期限管理です。

よくある質問

Q1. 建設業許可の相続認可の申請期限はいつまでですか? A. 被相続人の死亡後30日以内です(建設業法第17条の3。出典:国土交通省)。この期間内に認可申請すれば、認可まで相続人が被相続人の地位を承継したものとみなされ、許可の空白期間が生じません。

Q2. 相続人に建設業の経営経験がなくても認可されますか? A. 認可されません。相続認可でも相続人が経営業務管理責任者・営業所技術者等の要件を備え、死亡の時点でそれを立証できる必要があります。立証できなければ許可要件を欠くため認可はできません(出典:国土交通省 許可の要件)。令和2年10月改正の補佐体制などで充足できるかを受任時に確認します。

Q3. 他の相続人の同意は必要ですか? A. 必要です。申請者以外に相続人がいる場合、申請者以外の全相続人が当該建設業を申請者に一任することへの同意が求められます(出典:東京都都市整備局 建設業許可の手引)。30日以内に同意を取り付ける段取りが行政書士側の要になります。

Q4. 事業承継認可(法17条の2)と相続認可(法17条の3)は何が違いますか? A. 法17条の2は譲渡・合併・分割を対象とする「事前」の認可、法17条の3は個人事業主の死亡による相続を対象とする「事後(死亡後30日以内)」の認可です(出典:関東地方整備局)。

Q5. 許可番号や経営事項審査の結果は引き継げますか? A. 引き継げます。相続認可では地位・許可番号・経審結果が空白なく承継されるため、公共工事の入札参加資格への影響を最小化できます(出典:関東地方整備局)。承継後の許可番号や次回更新期限は建設業許可HUBのマスタ管理で継続管理できます。

Q6. 相続認可申請書はどの様式を使いますか? A. 相続認可申請書は様式第22号の10、あわせて相続用の誓約書(様式第22号の11)が必要です。相続関係書類や要件確認資料は都道府県の承継の手引きで一次確認します(出典:千葉県 建設業許可の承継の手引 令和7年4月版)。

まとめ

建設業許可の相続認可は、死亡後30日以内の申請で許可番号・経審結果を空白なく承継する制度(建設業法第17条の3)であり、行政書士の受任価値は3点に集約されます。第一に、死亡という予測できない起点から30日を逆算するタイムライン管理。第二に、相続人が経営業務管理責任者・営業所技術者等の要件を死亡時点で立証できるかの見極めと、申請者以外の全相続人からの一任同意の取り付け。第三に、様式第22号の10と誓約書を含む必要書類を短期間でそろえきる実務力です。受任前の要件スクリーニングでリスクを潰し、承継後の許可番号連続性と更新期限の継続管理まで見据えることが、相続案件を確実に捌く鍵になります。


相続案件も期限を止めない

建設業許可HUBは、29業種のマスタ管理で許可番号・有効期限・経管・営業所技術者等を一元管理し、5年更新や決算変更届の期限を自動計算して90/60/30日前に多段アラートで通知します。承継後の許可番号連続性と更新期限の管理を、承継実務の後工程として支えます。

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