
建設業法の帳簿とは?備付け・記載事項・保存期間【2026年版】
建設業者は営業所ごとに帳簿を備え、工事ごとに遅滞なく記載し、帳簿・添付書類は原則5年、規則26条1項3号の「発注者」(宅地建物取引業者を除く)と締結した住宅新築工事に係る帳簿・添付書類は10年、法定図書は10年保存します(q7 規則26条1項3号・28条1項)。
建設業法上の帳簿とは、建設業者が営業所ごとに備え、請け負った工事の契約・検査・引渡し・下請契約等の法定事項を工事単位で記録する帳簿を指します。
帳簿だけを一つのファイルとして点検すると、添付書類や営業に関する図書の適用範囲、保存起算日を取り違えやすくなります。営業所、工事、発生イベント、記載項目、添付・図書、保存起算日、廃棄可能日を結び、工事ごとの履歴として管理します。
建設業許可HUB式帳簿監査台帳では、複数顧客の未記載、添付漏れ、保存期限、電子記録の表示可否を横断確認できます。保存年数だけでなく、何を起点に期限を算出したかを証跡とともに残します。
帳簿・添付書類・図書は何年保存するか

建設業法40条の3は、建設業者に営業所ごとの帳簿の備付けと、帳簿・営業に関する法定図書の保存を求めています。保存対象を帳簿、規則26条2項の添付書類、同条5項の図書に分けて判定します。
帳簿と添付書類の保存期間を分ける
帳簿と規則26条2項の添付書類は、工事目的物を引き渡した時から原則5年保存します。請負契約に基づく債権債務が消滅した場合は、その消滅時が起算点です(建設業法施行規則28条1項)。引渡日だけを一律の起算日にせず、債権債務の消滅事実も確認します。
規則26条1項3号の「発注者」は宅地建物取引業者を除く定義であり、その発注者と締結した住宅新築工事に係る帳簿・添付書類は10年です(同規則26条1項3号・28条1項)。工事名に「住宅」とあるだけで判定せず、発注者、工事内容、契約、引渡しを確認します。
法定図書の10年保存を確認する
規則26条5項の図書は、工事目的物の引渡時から10年保存します(同規則28条2項)。対象図書は、発注者から直接請け負った建設業者、作成建設業者、それ以外の建設業者という立場により異なるため、全顧客へ同じ図書一式を要求しません。
完成図、発注者との工事内容の打合せ記録、施工体系図、材料費等記載見積書、その見積内容に関する注文者との打合せ記録のうち、規則26条5項で当該立場・工事へ適用されるものを判定します。施工体制台帳そのものの作成運用には広げず、帳簿監査で必要な区分と保存状況を確認します。
| 区分 | 主な内容 | 保存期間 | 起算点 |
|---|---|---|---|
| 帳簿 | 契約・検査・引渡し・下請契約等 | 原則5年 | 引渡しまたは所定の債権債務消滅時 |
| 住宅新築工事の帳簿 | 規則26条1項3号に該当する工事 | 10年 | 引渡しまたは所定の債権債務消滅時 |
| 帳簿の添付書類 | 規則26条2項の書類 | 帳簿と同じ | 帳簿と同じ |
| 法定図書 | 規則26条5項で立場別に適用 | 10年 | 引渡時 |
未備付け、未記載・虚偽記載、帳簿・図書の未保存は10万円以下の過料の対象です(建設業法55条5号)。
帳簿には何を記載・添付するか

契約・検査・引渡し・下請契約を工事ごとに記録する
帳簿には営業所代表者と就任年月日、注文者との請負契約、住宅新築工事の該当事項、下請負人との下請契約に関する法定事項を記載します(建設業法施行規則26条1項)。工事名称・所在地、契約日、当事者情報、検査完了日、引渡日を工事単位で結びます。
一定の下請契約に該当する場合は、支払額・支払日・支払手段、手形、残額、遅延利息に関する該当事項も記録対象です(同項4号ニ)。該当しない工事へ欄を機械的に埋めず、適用判定と根拠を保存します。契約情報は建設業法19条の請負契約書点検とつなぎ、帳簿上の契約日・当事者・工事を確定版へ合わせます。
契約書類と適用される法定図書を区分する
帳簿には、法19条1項・2項の書面または写し、該当する下請支払事項の証拠書類、施工体制台帳の所定部分を、適用条件に応じて添付します(建設業法施行規則26条2項)。書類へ帳簿の記載事項がある場合は、帳簿の箇所と書類の関係を明らかにして記載を省略できます(同条4項)。
| 比較 | 帳簿 | 添付書類 | 法定図書 |
|---|---|---|---|
| 役割 | 工事の法定事項を記録 | 記載内容等の根拠を工事へ結ぶ | 施工・打合せ等の所定図書を保存 |
| 更新契機 | 事実の発生・判明・変更 | 対象書類の発生 | 適用図書の作成・受領 |
| 適用範囲 | 営業所・工事ごと | 条件に該当する書類 | 建設業者の立場と工事で異なる |
| 電子代替 | 規則26条6項 | 同条7項 | 同条8項 |
工事経歴書の作成実務と同じ工事名を使う場合も、工事経歴書の記載だけで帳簿・添付・図書がそろったとはみなしません。法的役割と更新時点を区別します。
行政書士事務所が顧問先を点検する

発生事実を起点に遅滞なく更新する
帳簿の記載と添付は、工事ごとに、対象事実が生じまたは明らかになったとき遅滞なく行います。事項に変更があれば、変更年月日を付記して変更後の内容を記載します(建設業法施行規則27条)。許可更新前にまとめて復元する前提ではありません。
実務手順は、1. 工事を担当営業所へひも付ける、2. 契約・検査・引渡し・下請契約等の事実発生時に記録する、3. 対象書類を添付する、4. 立場と工事から適用図書を区分する、5. 保存起算日を登録する、6. 営業所で表示できる状態を点検する、の順です。
保存起算日と閲覧可能性を顧客別に確認する
建設業許可HUB式帳簿監査台帳には、営業所、工事、発生イベント、記載項目、添付・図書、引渡日、債権債務消滅日、採用した保存起算日、保存区分、廃棄可能日、証跡を登録します。起算日が未確認なら期限を推定せず、確認先と担当を設定します。
点検時は、ファイル名の存在だけでなく、確定版を開けるか、工事・営業所へ対応するか、保存期間中に権限者が確認できるかを確かめます。建設業許可の書類作成と様式の全体像と保管場所を共有しても、帳簿監査の証跡欄から該当資料へ到達できる状態にします。
電子記録でも営業所で表示できる状態を保つ

帳簿・添付・図書ごとの電子代替条件を確認する
帳簿の事項が電子記録に保存され、必要に応じ当該営業所で機器を使って明確に紙面または画面へ表示できる場合、帳簿記載に代えられます。添付書類と図書も、それぞれ規則26条7項・8項の条件を満たす電子記録で代替できます。
電子保存の点検では、当該営業所からのアクセス、表示の明確性、工事検索、確定版の識別、権限、担当交代後の閲覧を実機で確認します。クラウドへ保管したという回答だけで適合とせず、帳簿・添付・図書のどの区分を、どの記録が代替するかを台帳へ残します。
帳簿管理を更新前だけの作業にしない

帳簿管理は、工事登録、契約、変更、検査、引渡し、下請支払、債権債務消滅というイベントから更新タスクを起こします。月次で未記載・未添付を確認し、引渡し後は保存起算日と区分をレビューします。
監査で不備を見つけたら、対象工事、欠けた記載・書類、発生事実、是正担当、確認期限を登録します。過去分を補う場合も、作成日を事実発生日のように扱わず、確認に使った元資料と是正履歴を残します。
行政書士事務所の運営設計に担当・期限・再点検を組み込み、顧客の許可更新時は台帳全体の監査結果を確認します。建設業許可HUBで日常の工事イベントと監査を結ぶことで、更新直前の一括確認から継続管理へ切り替えられます。
よくある質問
保存期間は一律5年ですか。
一律ではありません。帳簿と添付は原則5年ですが、規則26条1項3号の「発注者」(宅地建物取引業者を除く)と締結した住宅新築工事に係る帳簿・添付書類は10年、規則26条5項の図書は10年です(q7 規則26条1項3号・28条)。
電子保存できますか。
必要に応じ当該営業所で紙面または画面へ明確に表示できる電子記録であれば、帳簿、添付、図書の代替ができます(q7 規則26条6〜8項)。
備えない場合の制裁は何ですか。
未備付け、未記載・虚偽記載、帳簿・図書の未保存は10万円以下の過料の対象です(q2 法55条5号)。
まとめ
建設業法上の帳簿は営業所ごと、工事ごとに更新し、添付書類・法定図書と区分します。原則5年と10年の対象、引渡し・債権債務消滅という起算点、電子表示条件を一件ずつ確認することが重要です。
建設業許可HUB式帳簿監査台帳で、営業所、工事、イベント、証跡、保存起算日、廃棄可能日を結べば、複数顧客の未備付けや保存漏れを日常業務で追跡できます。
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