工事経歴書の作成実務|記載順ルールと経審用の並べ方を行政書士向けに解説【2026年版】
業務効率化

工事経歴書の作成実務|記載順ルールと経審用の並べ方を行政書士向けに解説【2026年版】

2026年7月19日22分で読める

工事経歴書は、決算変更届に提出する場合と経営事項審査(経審)を受審する場合とで、記載する工事の範囲と並べ順が変わります。結論を先に言えば、決算変更届用は原則としてその事業年度のすべての完成工事を記載するのに対し、経審受審用は元請工事を請負代金の大きい順に並べ、その合計が完成工事高の概ね3分の2に達するまで記載してから残りをまとめます。

本記事では、行政書士が顧客の建設業者に代わって工事経歴書(様式第二号)を作成する実務を前提に、決算変更届用と経審用の記載順ルールの違い、経審の「2/3ルール」の具体的な組み立て手順、そして決算書・工事台帳から経歴書へ落とし込むときの確認ポイントを整理します。

工事経歴書 決算変更届用と経審用の記載順の違い
工事経歴書 決算変更届用と経審用の記載順の違い

工事経歴書とは|行政書士が押さえる定義と提出場面

工事経歴書とは、建設業者がその事業年度に施工した工事の内容・請負金額・工期などを業種ごとに一覧化した書類で、建設業法施行規則の別記様式第二号に定められています。決算変更届と経審の両方で提出が必要になり、提出目的によって記載基準が変わる点が実務上の最大の注意点です。

工事経歴書の定義と様式(様式第二号)

工事経歴書は、注文者・工事名・工事現場のある都道府県・請負代金の額・工期(着工年月・完成年月)などを工事ごとに記載する様式です。記載は建設業の業種ごとに分けて作成し、許可を受けている業種それぞれについて当該年度の工事実績を示します。

請負代金は税抜きで記載するのが原則で、完成工事高(財務諸表の完成工事高)との整合が取れている必要があります。様式の細目や添付の取扱いは都道府県の手引きで差があるため、提出先自治体の最新の手引きで確認してください。

提出が必要な場面(決算変更届・新規/更新・経審)

工事経歴書は、毎事業年度終了後4ヶ月以内に提出する決算変更届の添付書類として毎年作成します。あわせて新規・更新の許可申請でも直前の事業年度分が必要となり、経審を受審する顧客では経審用の工事経歴書を別基準で作成します。

建設業許可HUBは、行政書士事務所向けの建設業許可特化クラウドCRMです。顧客ごとの許可業種・完成工事高・工事実績をマスタ管理し、決算変更届と経審で繰り返し使う工事経歴を再利用できる設計にしています。

記載順ルール|決算変更届用と経審用の違い

決算変更届用と経審用では、記載対象とする工事の範囲と並べ順が異なります。同じ年度の工事台帳を使っても、目的に応じて2通りの経歴書を作り分ける必要があるという点が、行政書士が最初に押さえるべきポイントです。

決算変更届用と経審用の記載基準 対比早見表
決算変更届用と経審用の記載基準 対比早見表

決算変更届用の記載ルール(原則すべて記載)

決算変更届に添付する工事経歴書は、原則としてその事業年度に完成したすべての工事を記載します。元請・下請を問わず、軽微な工事を含めて当該業種の完成工事を漏れなく載せ、その合計が財務諸表の完成工事高と一致するように作成します。

並べ順は経審用のような厳密な金額順は求められませんが、自治体の手引きで「主な完成工事を記載のうえ」とされる場合もあるため、提出先の様式記載要領に従います。

経審受審用の記載ルール(元請・請負代金の大きい順)

経審を受審する場合の工事経歴書は、元請工事を請負代金の大きい順に並べることが起点になります。経営規模等評価では元請完成工事高が評価対象となるため、元請工事を金額の大きい順に上から記載し、一定の到達点まで記載した後に下請工事や残りの工事をまとめる構成になります。

この並べ方が、後述する「2/3ルール」と呼ばれる記載打ち切りの基準につながります。決算変更届用が網羅性を重視するのに対し、経審用は金額順と打ち切り基準を重視する点が本質的な違いです。

兼用時の注意点(同一年度で2基準が混在する場合)

決算変更届と経審を同一年度に申請する顧客では、同じ工事台帳から2基準の経歴書を作ることになります。決算変更届用で網羅した工事データを、経審用に金額順へ並べ替えて打ち切り基準を適用する、という二段構えで考えると整理しやすくなります。元データ(工事台帳)を一元化しておくと、並べ替えと打ち切りの作業だけで2種類の経歴書を出力できます。

比較項目決算変更届用経審受審用
記載対象範囲原則すべての完成工事元請を中心に2/3到達まで+残り
並べ順自治体の様式記載要領による元請工事を請負代金の大きい順
元請・下請の扱いいずれも記載元請を先に並べ、下請等は後にまとめる
記載打ち切り基準原則なし(全件)完成工事高の概ね2/3に達するまで
税抜・税込税抜で記載・完成工事高と整合税抜で記載・完成工事高と整合
主な根拠建設業法施行規則 様式第二号経営事項審査の手引(国土交通省)

経審用の並べ方の実務手順|2/3ルールの具体的な組み立て

経審用の工事経歴書は、3つのステップで組み立てます。元請工事を大きい順に並べ、完成工事高の概ね2/3に達するまで記載し、残りと下請工事をまとめる、という流れです。経審受審時に揃える書類全体は、別記事「経審の必要書類と準備の進め方(経審 必要書類 行政書士)」で整理しています。

経審用 工事経歴書の並べ方 3ステップ
経審用 工事経歴書の並べ方 3ステップ

元請工事を請負代金の大きい順に並べる

最初に、当該業種の元請工事を請負代金の大きい順に並べ替えます。経営規模等評価では元請完成工事高が評価対象になるため、規模の大きい元請工事から上に記載していくのが基本構成です。発注者から直接請け負った工事が元請に当たり、上位の下請から請け負った工事は下請工事として区別します。

合計が完成工事高の概ね2/3に達するまで記載する

並べた元請工事を上から順に記載し、その請負代金の累計が当該業種の完成工事高の概ね3分の2に達するまで記載します。これが実務上「2/3ルール」と呼ばれる記載打ち切りの考え方です。2/3に達した時点でいったん元請工事の個別記載を区切り、それ以降の工事の扱いに進みます。

具体的な記載件数の上限や「軽微な工事」の扱いは経審の手引きや自治体の運用で細部が異なるため、提出先の最新の手引きで確認してください。

残りの工事・下請工事の記載と「その他」のまとめ方

2/3到達後は、残りの元請工事と下請工事を含めてまとめる扱いになります。記載しきれない工事は「その他」として件数と合計金額で集約し、すべての工事の合計が完成工事高と一致するように調整します。最終的に経歴書の合計と財務諸表の完成工事高がずれていないかを必ず突合します。

行政書士の作成実務と効率化|転記ミスを構造的に減らす

行政書士が顧客の建設業者に代わって工事経歴書を作成する際は、決算書・工事台帳という一次資料から正確に転記し、完成工事高との整合を取ることが品質の核心になります。申請書類群の全体像と作成順序は「建設業許可の書類作成ガイド(建設業許可 書類作成 行政書士)」にまとめており、工事経歴書はその一部に位置づけられます。

決算書・工事台帳から工事経歴書への転記フロー
決算書・工事台帳から工事経歴書への転記フロー

決算書・工事台帳から経歴書へ落とすときの確認ポイント

工事経歴書の元になるのは、顧客の工事台帳・請負契約書・注文書と、決算書(完成工事高)です。受任時に、業種ごとの工事一覧・元請下請の区分・税抜金額・工期がそろっているかを確認します。台帳に元請下請区分が曖昧な工事があると経審用の並べ替えで詰まるため、ヒアリング段階で区分を確定させておくと手戻りを減らせます。

決算変更届の手続き全体の流れは「決算変更届の実務ガイド(決算変更届 行政書士)」で解説しています。工事経歴書はこの決算変更届に添付する中核書類の一つです。

税込・税抜の換算と完成工事高との整合

工事経歴書の請負代金は税抜きで記載するのが原則です。顧客の台帳が税込で管理されている場合は税抜へ換算する必要があり、ここで端数処理や消費税率の取り違えが起きると、経歴書合計と財務諸表の完成工事高がずれます。換算ルールを最初に決め、合計の突合を最後に必ず行う運用にすると、整合エラーを構造的に防ぎやすくなります。

前回データ再利用で毎期の作成工数を圧縮する(建設業許可HUB)

工事経歴書は毎期作成する書類ですが、継続中の長期工事や顧客の固定情報など、前年から引き継げる項目が少なくありません。前回データを再利用できれば、当年度に追加・完成した工事だけを更新すればよく、ゼロから打ち直す工数を圧縮できる余地があります。

建設業許可HUBは、工事台帳・完成工事高・元請下請区分・税抜換算データを保持し、前年の継続工事を翌期に引き継げる設計です。毎期ゼロから転記し直す必要を減らし、決算変更届用と経審用の作り分けを同じ元データから行える余地があります。

よくある質問

Q. 工事経歴書は決算変更届用と経審用で記載順が違うのですか?

A. 違います。決算変更届用は原則としてその事業年度のすべての完成工事を記載しますが、経審受審用は元請工事を請負代金の大きい順に並べ、完成工事高の概ね2/3に達するまで記載してから残りをまとめます(建設業法施行規則 様式第二号・経営事項審査の手引)。

Q. 経審を受ける場合、工事経歴書はどの順番で並べますか?

A. 当該業種の元請工事を請負代金の大きい順に上から並べ、その累計が完成工事高の概ね3分の2に達するまで記載し、残りの工事と下請工事をまとめます。記載件数の細部は提出先の経審の手引きで確認してください。

Q. 工事経歴書の「2/3ルール」とは何ですか?

A. 経審用の工事経歴書で、元請工事を大きい順に記載した請負代金の累計が完成工事高の概ね2/3に達するまで個別記載し、それ以降をまとめて扱う、という記載打ち切りの考え方を指す実務上の通称です。

Q. 工事経歴書に下請工事は記載しますか?

A. 決算変更届用では元請・下請を問わず記載します。経審用では元請工事を優先して大きい順に並べ、2/3到達後に下請工事を含めてまとめる構成になります。いずれも最終的に合計が完成工事高と一致するようにします。

Q. 行政書士が工事経歴書を作成するとき、どの書類から情報を集めますか?

A. 顧客の工事台帳・請負契約書・注文書・決算書(完成工事高)を集めます。業種ごとの工事一覧・元請下請区分・税抜金額・工期を確認し、台帳の区分が曖昧な箇所はヒアリングで確定させてから経歴書に落とすと手戻りを減らせます。

まとめ

工事経歴書は、決算変更届用が原則全件記載、経審受審用が元請を大きい順に並べて2/3到達まで記載という、目的別の作り分けが必要な書類です。行政書士の作成実務では、工事台帳・決算書という一次資料から税抜換算・元請下請区分を正確に転記し、最後に完成工事高との合計突合を必ず行うことが品質の要になります。同じ年度に決算変更届と経審を扱う顧客では、一元化した工事台帳から2基準を作り分ける運用にすると整理しやすくなります。まずは自事務所の顧客ごとに、元請下請区分と税抜金額が台帳でそろっているかを点検することから始めてください。

工事経歴書作成の整合チェックの流れ
工事経歴書作成の整合チェックの流れ

関連記事


工事経歴書の作り分けを、同じ元データで。

建設業許可HUBは、工事台帳・完成工事高・元請下請区分を一元管理し、決算変更届用と経審用の経歴書を同じ元データから作り分けられる設計です。

月額2,980円 (税込・6名以上、1〜5名は4,980円/名)から。14日間の無料トライアルで全機能をお試しいただけます。

14日間無料トライアルを始める →

クレジットカード登録不要


まずは無料で製品を体験してください

顧客企業・案件管理、期限自動リマインダ、都道府県別様式の書類作成までこれ1つで。月額2,980円〜。

関連記事