
経審の必要書類チェックリスト|行政書士が顧客から集める資料の準備手順【2026年版】
経営事項審査(経審)の必要書類は、「経営状況分析(Y)」と「経営規模等評価(X・Z・W)」の2段階で提出先も書類も異なります。経営状況分析は登録経営状況分析機関に財務諸表中心の資料を提出し、経営規模等評価は許可行政庁に完成工事高・技術職員・社会性の確認資料を提出する、という分担を最初に押さえることが書類準備の出発点です。
本記事では、行政書士が顧客(建設業者)から集めるべき資料を「収集オペレーション」の視点でチェックリスト化します。何を・どこに提出する書類なのかをカテゴリ別早見表で整理し、回収漏れを防ぐ進め方まで解説します。経審の評点構造や年間スケジュールといった全体像は経営事項審査(経審)の実務ガイドで扱っているため、本記事は書類準備に特化します。

経審の必要書類とは|まず全体像を押さえる
経審の必要書類とは、総合評定値(P)を得るために提出する「経営状況分析(Y)」と「経営規模等評価(X・Z・W)」の2系統の書類群を指します。両者は提出先が異なり、必要な資料も重複しないため、行政書士はどちらの審査向けに何を集めるのかを切り分けて回収する必要があります。
経審の2段階構造(分析機関と審査行政庁)
経審は、登録経営状況分析機関への「経営状況分析申請」と、許可行政庁への「経営規模等評価申請」の2段階で構成されます。経営状況分析は財務の健全性(Y)を数値化する審査で、財務諸表を中心とした書類を分析機関に提出します。
経営規模等評価は、完成工事高・自己資本(X)、技術力(Z)、社会性(W)を評価する審査で、許可行政庁に確認資料を提出します。総合評定値(P)は両審査の結果を合算して算出されるため、どちらか一方が欠けると経審は完結しません。なお経審の前提として決算変更届の提出が必要で、決算確定後の財務諸表が両審査の出発点になります。
必要書類カテゴリ一覧(自己完結の早見表)
経審の必要書類は審査区分ごとに次のように整理できます。下表は国土交通省「経営事項審査の手引き」および建設業法施行規則に基づくカテゴリ早見表です。
| 審査区分 | 評価項目 | 主な提出書類 | 提出先 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 経営状況分析(Y) | 財務の健全性 | 財務諸表(建設業法様式)・税務申告書類 | 登録経営状況分析機関 | 建設業法施行規則 |
| 経営規模等評価(X1・X2) | 完成工事高・自己資本 | 工事経歴書・財務諸表・消費税申告書 | 許可行政庁 | 国交省 経審の手引き |
| 経営規模等評価(Z) | 技術力 | 技術職員名簿・資格証・常勤性確認資料 | 許可行政庁 | 国交省 経審の手引き |
| 経営規模等評価(W) | 社会性等 | 保険加入証明・退職金制度・CCUS関連資料 | 許可行政庁 | 国交省 経審の手引き |

経営状況分析(Y)で集める書類
経営状況分析(Y)で集める書類は、決算確定後の財務諸表と税務関連書類が中心です。登録経営状況分析機関に提出し、負債・収益性・流動性などの指標から経営の健全性を数値化します。財務の数字をいじることはできないため、行政書士の役割は正確な書類を漏れなく揃えることにあります。
財務諸表・決算関連書類
経営状況分析で核となるのは、建設業法の様式に組み替えた財務諸表(貸借対照表・損益計算書・完成工事原価報告書・株主資本等変動計算書・注記表)です。これらは決算変更届で作成する財務諸表と共通するため、決算変更届と経審はセットで段取りすると効率的です。財務諸表の建設業法様式への組み替え手順は別記事で詳述しますが、ここでは「決算変更届の財務諸表がそのまま分析の入力になる」と押さえてください。
あわせて、税務申告書(法人税申告書別表等)や消費税確定申告書も、完成工事高や利益の裏付け資料として求められる場合があります。決算が確定していないと着手できないため、顧客の決算スケジュールの把握が前提です。
分析機関への申請に必要な確認資料
分析機関への申請では、財務諸表のほかに許可情報を確認する資料が必要です。建設業許可通知書または許可申請書の写しで、許可番号・許可業種・許可年月日を確認します。前年度の経営状況分析結果通知書がある場合は、継続受審の連続性を確認するため求められることもあります。
分析機関によって受付様式や添付資料の細目が異なるため、申請先の分析機関の案内に沿って事前に確認します。

経営規模等評価(X・Z・W)で集める書類
経営規模等評価(X・Z・W)で集める書類は、許可行政庁に提出する完成工事高・技術職員・社会性の確認資料です。経営状況分析が財務一本なのに対し、こちらは項目が広く回収先も多岐にわたるため、収集漏れが最も起きやすい区分です。
完成工事高・財務関連(X1・X2)
X1(完成工事高)の確認には、審査対象期間の工事経歴書と、その裏付けとなる契約書・注文書・請求書等が必要です。完成工事高は業種ごとに集計するため、工事ごとの業種区分が正確であることが評点に直結します。
X2(自己資本額・利払前税引前償却前利益)は財務諸表から評価されるため、経営状況分析と同じ建設業法様式の財務諸表を使います。消費税の課税事業者であれば消費税確定申告書も完成工事高の確認資料として求められます。
技術職員の資格証・実務経験資料(Z)
Z(技術力)では、技術職員名簿に記載する各職員の資格証・実務経験を確認する資料を集めます。具体的には国家資格の合格証明書や免状の写し、監理技術者資格者証、実務経験を証する書類、そして審査基準日時点での常勤性を確認する資料(健康保険被保険者証の写し等)です。
なお、技術者の資格証・実務経験・常勤性をどう収集・突合するかという実務は、許可申請(新規・業種追加)の確認資料収集とも共通します。本記事では「Zの技術職員名簿に紐づく経審の資料として何が必要か」に絞り、許可申請側の確認資料の集め方は別記事で扱います。
社会性(W)の確認資料(保険・CCUS等)
W(その他の審査項目)は加点・減点の対象が多く、確認資料が分散します。健康保険・厚生年金・雇用保険の加入を示す資料、建設業退職金共済(建退共)や中小企業退職金共済などの制度加入を示す資料、法定外労働災害補償の加入証明などが該当します。
建設キャリアアップシステム(CCUS)はWの加点対象とされていますが、評価項目・点数は国土交通省の経審告示やCCUS資料で執筆時に一次確認が必要です。Wは「該当する制度に加入しているか」を一つずつ潰す確認作業になるため、チェックリスト化の効果が最も高い区分です。

行政書士が顧客から資料を集める進め方
行政書士が顧客から資料を集める進め方の基本は、「カテゴリ別チェックリストで依頼し、回収状況を一元管理する」ことです。経審は提出先が分析機関と行政庁に分かれ、書類点数も多いため、口頭依頼の積み上げでは回収漏れが起きやすくなります。
収集チェックリストと回収依頼の型
回収依頼は、Y・X・Z・Wの区分ごとに「集める資料」と「対応する確認項目」を対にしたチェックリストで行うと漏れが減ります。下表は技術職員資料の収集チェックリストの例です。
| 確認項目 | 収集する資料 | 建設業許可HUBの対応マスタ項目 |
|---|---|---|
| 資格 | 国家資格の合格証明書・免状の写し | 技術者マスタ(保有資格) |
| 実務経験 | 実務経験を証する書類 | 技術者マスタ(経験区分) |
| 常勤性 | 健康保険被保険者証の写し等 | 技術者マスタ(常勤性・有効期限) |
顧客(建設業者)には、この一覧をそのまま依頼書として渡し、回収済み・未回収を可視化します。1社あたりの収集点数が多いため、依頼の型を標準化しておくと事務所全体の品質が安定します。
期限・常勤性の確認漏れを防ぐ管理
経審の資料収集では、資格証の有効期限切れや、審査基準日時点の常勤性の確認漏れが評点の取りこぼしや差し戻しにつながります。仮に顧客30社が毎年経審を受審し、1社あたり技術職員5名・収集書類を20点とモデル前提で置くと、年間で延べ600点の資料を回収・突合することになります(前提=顧客30社・1社20点の試算であり、実在の顧客実績ではありません)。
建設業許可HUBは、技術者ごとの保有資格・有効期限・常勤性をマスタ管理し、決算月や許可有効期限から経審・決算変更届のスケジュールを整理する設計です。資料の有効期限を一覧で確認できるため、回収漏れの確認負荷を下げる余地があります。汎用の表計算ソフトでも管理は可能ですが、その場合は期限計算やマスタ項目を自分で構築・保守する必要があります。
よくある質問
Q. 経営事項審査の申請に必要な書類は何ですか?
A. 大きく分けて、登録経営状況分析機関に提出する経営状況分析(Y)の財務諸表・税務関連書類と、許可行政庁に提出する経営規模等評価(X・Z・W)の工事経歴書・技術職員資料・社会性確認資料の2系統です(出所:国交省 経営事項審査の手引き)。
Q. 経営状況分析と経営規模等評価では、準備する書類はどう違いますか?
A. 経営状況分析(Y)は財務諸表が中心で提出先は分析機関、経営規模等評価(X・Z・W)は完成工事高・技術職員・社会性の確認資料で提出先は許可行政庁です。同じ財務諸表を使う部分はありますが、回収先と書類カテゴリは分けて管理します。
Q. 行政書士は顧客から具体的にどの資料を集めればよいですか?
A. Y区分では建設業法様式の財務諸表と税務書類、X区分では工事経歴書と契約・請求の裏付け、Z区分では資格証・実務経験・常勤性の資料、W区分では各種保険・退職金制度・CCUSの加入資料です。区分別チェックリストで依頼すると漏れにくくなります。
Q. 技術職員の資格や実務経験は、どの書類で確認しますか?
A. 国家資格の合格証明書や免状の写し、監理技術者資格者証、実務経験を証する書類、審査基準日の常勤性を示す資料で確認します。これらは経審のZ(技術力)の評価に直結するため、有効期限切れや常勤性の確認漏れに注意して回収します。
Q. 経審の書類は決算変更届の書類と共通していますか?
A. 建設業法様式の財務諸表と工事経歴書は決算変更届と共通します。経審は決算変更届の提出が前提となるため、決算変更届の実務とセットで段取りすると効率的です。
まとめ
経審の必要書類は、財務諸表中心の経営状況分析(Y・提出先は分析機関)と、完成工事高・技術職員・社会性の経営規模等評価(X・Z・W・提出先は許可行政庁)の2系統に分かれます。行政書士の役割は、この区分を切り分けて顧客から正確な資料を漏れなく回収することです。
回収漏れを防ぐ鍵は、Y・X・Z・Wの区分別チェックリストで依頼し、資格の有効期限や常勤性まで一覧で確認できる状態を作ることにあります。経審の評点や年間スケジュールの全体像は経営事項審査(経審)の実務ガイドを、経審の前提となる決算手続きは決算変更届の実務ガイドをあわせて確認してください。

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