
建設業許可の株主調書・使用人数・営業の沿革の書き方|3様式を一括整理
株主調書・使用人数・営業の沿革は、株主名簿、人員情報、登記、過去申請データを先に確定し、3様式へ振り分けると転記ずれを防げます。
株主調書・使用人数・営業の沿革とは、議決権5%以上の株主または出資総額5%以上の出資者、営業所ごとの使用人、事業者の沿革をそれぞれ記載する様式第14号・第4号・第20号を指します。
3様式は「脇役書類」に見えても、株主、役員、営業所、人員、商号、所在地といった共通情報を別々の切り口で使います。個別ファイルを前年から複製すると、一方だけ古い所在地が残る、株主の変更が役員等の情報へ反映されない、使用人数の基準日を取り違えるといったずれが起きやすくなります。
行政書士事務所では、最初に入力元と基準日を固定し、顧客確認、作成、第二者確認の順に進めることが重要です。建設業許可HUBで顧客マスタと変更履歴を案件へ結び付ける場合も、法令上確定する値と提出先の現行案内で確認する事項を分けて保存します。
3様式の違いと入力元を先に確認する

3様式を同時に作るときは、様式ごとの対象と入力元を先に一覧化します。建設業許可申請書類全体の位置付けは、建設業許可の書類作成と様式の全体像で確認し、本記事では第4号・第14号・第20号の共通入力だけに絞ります。
| 様式 | 対象 | 基準日・更新時点 | 主な入力元 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 第4号 使用人数 | 営業所ごとに建設業へ従事する使用人 | 許可申請は申請日、法11条3項の届出は事業年度終了日 | 人員一覧、雇用情報、役員情報、営業所一覧 | 建設業法6条1項3号、施行規則2条4号、国交省記載要領 |
| 第14号 株主調書 | 議決権5%以上の株主または出資総額5%以上の出資者 | 作成対象となる申請時点 | 株主名簿、出資資料、登記事項 | 建設業法施行規則4条1項7号 |
| 第20号 営業の沿革 | 法人・個人の創業後の沿革、許可状況、賞罰 | 申請時点までの履歴 | 登記事項、過去申請、許可通知、会社履歴 | 建設業法施行規則4条1項12号、国交省記載要領 |
3様式の対象と役割を確認する
様式第4号は、建設業法6条1項3号の「使用人数を記載した書面」で、建設業法施行規則2条4号が別記様式第4号を指定しています。営業所ごとに、営業所技術者等に該当する者、その他の技術関係使用人、事務関係使用人を区分し、合計へつなげます。経審の技術職員名簿ではありません。
様式第14号は、総株主の議決権の5%以上を持つ株主、または出資総額の5%以上を出資する者を記載する法人用書面です(建設業法施行規則4条1項7号)。様式第20号は、創業、商号・組織・資本金の変更、営業の休止・再開、最初の登録・許可等、行政処分等を含む賞罰を時系列で整理します。
法人・個人で必要な様式を分ける
第4号と第20号は、国土交通省の申請書類一覧で法人・個人の双方に位置付けられています。一方、第14号は規則上「法人である場合」の書類であり、個人申請へ機械的に付けません。申請区分による省略可否は、規則4条5項・6項と提出先の現行案内を照合します。
作成対象を決めたら、法人・個人、申請区分、提出先、確認した案内の版、確認日を案件へ記録します。前年に提出したかどうかだけで要否を決めず、今回の申請区分と変更の有無を根拠にすれば、不要書類の作成と必要書類の欠落を同時に防げます。
株主調書と会社情報を整合させる

株主調書は、株主名簿の転記だけで終わりません。基準を満たす対象者を抽出し、氏名・名称、住所、所有株数または出資価額を確定したうえで、役員等に関する情報や登記事項との不一致がないかを確認します。
| 管理項目 | 主な入力元 | 第14号への反映 | 関連する照合 | 毎回の確認 |
|---|---|---|---|---|
| 株主・出資者 | 株主名簿、出資資料 | 氏名・名称 | 役員等の一覧、調書 | 5%以上の該当性(出典: 規則4条1項7号) |
| 住所 | 株主名簿、顧客確認 | 住所 | 既提出調書 | 変更日と現住所 |
| 持分 | 議決権資料、出資資料 | 所有株数・出資価額 | 資本関係 | 基準時点の数値 |
| 商号・資本金 | 登記事項 | 調書の前提情報 | 申請書、沿革 | 最新登記との一致 |
5%以上の株主・出資者を抽出する
最初に、総株主の議決権または出資総額を分母として、規則4条1項7号の対象者を抽出します。単純な所有株数だけで判断できない資料では、議決権の有無と出資関係を顧客へ確認し、判断に使った資料と確認日を保存します。基準未満の者を念のため全員載せる運用にはしません。
抽出結果は、対象者、該当根拠、住所、所有株数または出資価額、確認者を一行で追える状態にします。株主名簿が更新前であれば、口頭回答だけを確定値にせず、更新された原本や会社が確認した資料を受領してから提出版へ反映します。
役員等の一覧表と入力元を照合する
株主等が法人に同等以上の支配力を持つ者として別書類の確認対象にもなる場合、同じ人物の表記が書類間でずれていないかを点検します。氏名の字体、住所、役名等、株主等としての区分を、今回使用する入力元にそろえます。
個別ファイル起点では、各様式が独自のコピーを持つため変更箇所を探しにくくなります。共通マスタ起点なら、確定値を一度更新し、影響する様式を洗い出したうえで提出版を凍結できます。ただし、システム上の値が正しいと自動判断せず、根拠資料との照合を必ず残します。
使用人数の基準日と営業の沿革の更新時点を分ける

使用人数は特定日のスナップショット、営業の沿革は申請時点までの時系列です。この性質の違いを無視して同じ「最新日」で処理すると、基準日後の入退社を第4号へ混ぜたり、申請前に生じた沿革の変更を落としたりします。
使用人数の基準日を確定し、営業の沿革を申請時点まで更新する
国土交通省の様式第4号記載要領では、許可申請は申請日、建設業法11条3項の届出は事業年度終了日における使用人数を営業所ごとに記載します。「使用人」は雇用期間を特に限定せず雇用された者で、法人の常勤役員または個人事業主も含みます。作成日現在の人数へ安易に置き換えません。
第20号は、創業後の沿革、建設業の登録・許可状況、賞罰を整理します。変更履歴の各行に発生日と根拠資料を結び、過去申請の続きへ今回までの出来事を追加します。建設業許可申請の補正・差し戻し防止チェックも使い、基準日と履歴更新の取り違えを提出前に点検します。
様式間の商号・所在地・営業所情報を照合する
商号、所在地、営業所名は、3様式だけでなく許可申請書や営業所一覧にも現れます。今回の確定値を中心に、旧商号・旧所在地を沿革として残す部分と、現在情報を表示する部分を分けます。変更日が不明なら登記事項や受領資料で確定し、推測日を置きません。
照合では、入力元、対象様式、基準日、確認者、差異、解消方法を記録します。転記後の文字列だけを見比べるのではなく、同じ原本から作ったかを確かめることが重要です。修正したときは旧版を消さず、提出版と確認過程を区別して保存します。
行政書士事務所で前年データを再利用する

前年データは入力を省くための原本ではなく、差分確認の比較対象です。再利用候補、毎回確認する値、確認元、担当者を分けると、変更なしという顧客回答にも根拠を持たせられます。
顧客マスタと変更履歴を基準に第二者確認する
建設業許可HUBでは、顧客、法人情報、営業所、人員、株主、許可履歴を共通IDで結び、前回値と今回値の差分を確認する管理例を作れます。建設業許可CRMの顧客管理項目と接続し、誰がどの資料をいつ確認したかまで監査ログに残します。
次の対応表は統計や顧客事例ではなく、3様式の記載項目を管理データへ対応させる独自編集フレームです。作成担当と確認担当を分け、差異がない場合も確認日を残します。提出後は受付控えと提出版を案件へ固定し、翌年に編集可能なマスタと混同しません。
| 記載項目 | 入力元資料 | 顧客マスタ項目 | 再利用可否 | 確認担当 |
|---|---|---|---|---|
| 株主・出資者 | 株主名簿、出資資料 | 株主、持分、住所 | 候補のみ再利用し毎回確認 | 作成者+第二確認者 |
| 営業所別人数 | 人員一覧、役員情報 | 人員、所属営業所、職種 | 基準日ごとに再集計 | 人員確認担当+第二確認者 |
| 創業・組織変更 | 登記事項、議事資料 | 会社履歴 | 確定済み過去行は再利用可 | 法人情報担当 |
| 許可履歴・賞罰 | 許可通知、処分資料 | 許可履歴、行政処分 | 前回後の差分を確認 | 案件責任者 |
| 商号・所在地 | 登記事項 | 法人・営業所マスタ | 現行値を毎回照合 | 作成者+第二確認者 |
3様式は入力元と確認日をそろえる

提出前には、3様式が埋まっているかではなく、対象者、基準日、入力元、他書類との整合を確認します。第14号は5%以上の該当者、第4号は手続きに応じた基準日の人数、第20号は申請時点までの沿革という違いを一枚のチェックにまとめます(出典: 建設業法施行規則4条1項7号等)。
完了条件は、作成済み、第二者確認済み、顧客確認済み、提出版固定、受付証跡保存に分けます。行政書士の建設業許可業務年間実務マップへつなぎ、単発の書類作成ではなく、次の変更届・決算変更届・更新で再確認できる履歴にします。
よくある質問
株主調書には全株主を記載しますか。
規則4条1項7号の対象は、総株主の議決権または出資総額の5%以上を有する者です。役員等の情報との整合も確認します。
使用人数には誰を含めますか。
雇用期間を特に限定せず雇用された者をいい、法人の常勤役員または個人事業主も含め、営業所ごとに記載します。基準日は許可申請なら申請日、法11条3項の届出なら事業年度終了日です(w2)。様式第4号は経審の技術職員名簿ではありません。
前回様式をそのまま使えますか。
そのまま提出せず、株主、人員、商号、所在地、組織、許可履歴、賞罰の変更を確認します。省略可否は申請区分と提出先の現行案内で判定します。
まとめ
株主調書・使用人数・営業の沿革は、共通の会社情報を使いながら対象と時間軸が異なる3様式です。入力元を先に確定し、第14号の5%以上基準、第4号の基準日、第20号の履歴更新を分ければ、前年転記によるずれを抑えられます。
建設業許可HUBで顧客マスタ、変更履歴、確認者、提出版を一案件へ結び付けると、次回も根拠から差分を確認できます。システムは法的判断の代わりではなく、行政書士が確認した事実と証跡を引き継ぐ基盤として使います。
複数顧客の申請情報を、確認履歴ごと整理
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