
経審の評点(P点)の上げ方|行政書士が顧客に提案できる5要素の改善ポイント【2026年版】
経審の評点(総合評定値P)は、X1・X2・Y・Z・Wの5つの評価項目を加重平均して算出されます。行政書士が顧客の建設業者に提案できる改善ポイントは、ウェイト係数の大きいZ(技術力・0.25)・X1(完成工事高・0.25)と、取組み次第で動かしやすいW(社会性等・0.15)に集約されます。係数の小さい項目を磨いてもP点全体への寄与は限定的です。
本記事では、総合評定値の算定式を早見表で示し、5要素ごとの改善余地と関与できる範囲、効果が出るまでの注意点を整理します。経審の審査項目や年間スケジュールを含む全体像は〔経営事項審査(経審)の実務ガイド〕(/blog/keishin-jisshu-guide)で解説しています。

経審のP点(総合評定値)とは|算定式と5要素の早見表
経審の総合評定値(P点)は、公共工事の入札参加資格を審査する際の客観的な評価点で、5つの審査項目の加重平均として算出されます。改善提案の前提として、まず「どの項目がどれだけP点に効くか」を係数で把握することが出発点になります。
P点の定義と公共工事入札での役割
総合評定値(P点)は、経営事項審査で建設業者の客観的事項を数値化した評価点です。公共工事を直接請け負おうとする建設業者は経審を受けなければならず、P点は各発注機関の入札参加資格審査の格付け(A・B・Cなどのランク分け)の基礎データとして使われます。
つまりP点は、顧客が狙える工事規模や指名の入りやすさに直結します。経審の結果通知の有効期間は1年7ヶ月で、公共工事を継続受注する顧客は実務上毎年の受審が必要なため、改善提案も毎年のサイクルで行えます。
総合評定値の算定式と各要素の意味【早見表】
総合評定値Pは、次の算定式で求められます(係数は国土交通省の経審に係る告示に基づく現行値)。
P = 0.25×X1 + 0.15×X2 + 0.20×Y + 0.25×Z + 0.15×W
各記号の評価項目とウェイト係数、評価対象の概要は次のとおりです。
| 記号 | 評価項目 | ウェイト係数 | 評価対象の概要 |
|---|---|---|---|
| X1 | 経営規模(完成工事高) | 0.25 | 業種別の完成工事高 |
| X2 | 経営規模(自己資本額・利益額) | 0.15 | 自己資本額、利払前税引前償却前利益(EBITDA系) |
| Y | 経営状況分析 | 0.20 | 負債・収益性・財務健全性などの財務指標 |
| Z | 技術力 | 0.25 | 技術職員数、元請完成工事高 |
| W | その他の審査項目(社会性等) | 0.15 | 社会保険加入、CCUS、建退共、法定外労災などの取組み |
このように、X1(完成工事高)とZ(技術力)がともに係数0.25で最も重く、合計でP点の半分を占めます。この構造が、後述する改善提案の優先順位の根拠になります。

P点を構成する5つの評価項目と改善余地
5要素は性質が異なり、行政書士が関与しやすいもの・しにくいものがあります。各項目の中身と改善余地を整理します。
X1(完成工事高)・X2(自己資本額・利益額)=経営規模
X1は業種別の完成工事高を、X2は自己資本額と利益額を評価する経営規模の指標です。X1は受注実績そのもので短期では動かしにくい一方、完成工事高は2年平均と3年平均のいずれかを選べる仕組みがあり、好不調の年の組み合わせ方で有利な数値を選べる余地があります。
X2の自己資本額は、増資や利益の内部留保で増やせるため、X1より財務的な打ち手で動かしやすく、決算前に提案しやすい領域です。
Y(経営状況分析)=財務の健全性
Yは、登録経営状況分析機関による経営状況分析の結果で、負債の状況・収益性・財務の健全性などを複数の財務指標から評価します。係数は0.20とZ・X1に次いで大きく、財務体質がそのままP点に反映されます。
Yは決算書の数値で決まるため、決算を締める前の対策が効きます。不要な借入の圧縮、利益の確保、自己資本の充実といった財務改善がYの向上につながります。決算が確定すると当期のYは動かせないため、改善提案は決算前に行う時間軸の制約があります。
Z(技術力)・W(社会性等)=技術者と取組み
Zは技術職員数と元請完成工事高で技術力を評価する、係数0.25・X1と並ぶ最重要項目です。技術職員数は資格取得や有資格者の確保で計画的に増やせるため、改善提案の主戦場になります。
Wはその他の審査項目(社会性等)で、社会保険の加入、CCUS(建設キャリアアップシステム)への登録、建設業退職金共済(建退共)・法定外労災への加入といった取組みを加点評価します。係数は0.15ですが、要件を満たせば加点される定型的な項目が多く、手続き面で関与しやすいのが特徴です。

行政書士が顧客に提案できる改善ポイント
ウェイトの大きさと「動かしやすさ」を掛け合わせると、提案すべき優先順位が見えてきます。要素別に具体的な打ち手を整理します。
技術者の資格取得・実務経験整理でZを上げる
Z(係数0.25)は技術職員数が評価対象のため、顧客企業の社員に施工管理技士などの国家資格取得を計画的に進めてもらうことが評点改善の王道です。行政書士は、どの資格者を何人確保すればどの業種で加点が見込めるかを顧客と棚卸しし、資格取得の年間計画づくりを支援できます。
すでに資格者や実務経験者が在籍しているのに技術職員として正しく計上されていないケースもあり、保有資格・実務経験を整理して漏れなく計上するだけでも、Zが改善する余地があります。
決算対策・自己資本充実でX2・Yを上げる
X2(自己資本額・利益額・係数0.15)とY(経営状況分析・係数0.20)は、いずれも決算書の数値で決まります。利益の確保、増資による自己資本の充実、不要な借入の圧縮といった決算対策を、決算前に顧問税理士と連携して提案できると、両項目を同時に押し上げられる設計です。
ただし具体的な決算処理は税理士の領域です。行政書士の役割は「経審のYとX2を上げるには決算前のこの時期に手を打つ」というスケジュールと論点を顧客に伝え、税理士と連携する場をつくることにあります。
CCUS登録・建退共・法定外労災などでWを上げる
W(社会性等・係数0.15)は、要件を満たせば加点される項目が多く、手続き面で直接支援しやすい領域です。CCUS(建設キャリアアップシステム)の事業者登録、建退共への加入、法定外労災への加入、社会保険の適正加入などが代表的な加点対象です(各項目の加点点数は国土交通省の経審告示・CCUS資料で要確認)。
これらは本業の受注状況に左右されず、手続きを行えば反映される定型的な加点のため、「取りこぼしている加点項目はないか」を点検する提案が有効です。CCUS登録代行は行政書士の新規業務領域でもあります。

要素別の改善打ち手をまとめると、次のとおりです。
| 要素 | 主な改善手段 | 行政書士が関与できる範囲 | 効果が出るまでの目安 |
|---|---|---|---|
| Z(技術力・0.25) | 資格取得・有資格者確保・技術職員の計上漏れ防止 | 計上の棚卸し・年間計画づくりの支援 | 資格取得は中長期、計上漏れ是正は次回受審から |
| X1(完成工事高・0.25) | 完成工事高の年平均の選択 | 2年平均/3年平均の有利な選択提案 | 次回受審から |
| Y(経営状況分析・0.20) | 借入圧縮・利益確保・自己資本充実 | 税理士と連携した論点・時期の整理 | 決算確定後の次回受審から |
| X2(自己資本・利益・0.15) | 増資・内部留保・利益確保 | 決算前の論点整理(処理は税理士) | 決算確定後の次回受審から |
| W(社会性等・0.15) | CCUS登録・建退共・法定外労災・社保適正加入 | 手続き代行・取りこぼし点検 | 加入・登録後の次回受審から |
P点改善で注意すべき落とし穴
P点改善の提案では、効果のタイミングを誤ると「対策したのに評点に反映されない」事態が起こります。この時間軸の注意点を整理します。
審査基準日と決算のタイミング・効果が出るまでのタイムラグ
経審は審査基準日(原則として申請直前の事業年度終了日)時点の状態で審査されます。Y・X2のような決算書ベースの項目は決算確定時点で当期の数値が固定されるため、決算を締めてから対策しても当期のP点には反映されず、改善提案は決算前に行う必要があります。
一方、技術者の資格取得など数か月かかる項目は、審査基準日から逆算した着手が欠かせません。顧客の決算月と審査基準日を把握し、「いつまでに何を手当てすればその年の評点に乗るか」を年間スケジュールとして管理することが鍵です。
建設業許可HUBは、顧客ごとの技術者情報・許可業種・決算月・経審スケジュールをマスタ管理し、改善提案のタイミングを逃さない設計のクラウドCRMです。技術職員の計上漏れ防止や決算前の論点整理のリマインドに役立ちます。
寄与度をウェイト係数から試算する(前提明示)
どの要素を改善すると最も効くかを係数から試算します。前提:各評価点が同じ幅で改善したと仮定し係数を掛けて寄与を比較する単純化モデルです(各評価点の満点・最低点の幅は実際には異なり、実在顧客のデータではありません)。各評価点が一律「10ポイント」改善したとすると、寄与は係数に比例します。
| 改善した要素 | 係数 | 寄与(10pt改善時) |
|---|---|---|
| Z(技術力)/X1(完成工事高) | 0.25 | 2.5 |
| Y(経営状況分析) | 0.20 | 2.0 |
| X2(自己資本・利益)/W(社会性等) | 0.15 | 1.5 |
この単純化モデルでも、Z・X1(各2.5)がW・X2(各1.5)の約1.7倍の寄与を持つことが構造的にわかります。限られた工数なら、効きの大きいZ・X1に、手続きだけで加点しやすいWを組み合わせる提案が現実的です。
よくある質問
Q. 経審のP点(総合評定値)はどの評価項目のウェイトが一番大きいですか?
A. X1(完成工事高)とZ(技術力)がともに係数0.25で最も大きく、合計でP点の半分を占めます。算定式は P=0.25×X1+0.15×X2+0.20×Y+0.25×Z+0.15×W です(国交省 経審告示)。
Q. 行政書士は経審の評点を上げるために具体的に何を提案できますか?
A. 技術職員の計上漏れ防止と資格取得計画(Z)、CCUS登録・建退共・法定外労災などの加点項目の取りこぼし点検(W)、決算前の論点整理を税理士と連携(X2・Y)などを提案できます。
Q. 技術者を増やすと経審の評点はどれくらい上がりますか?
A. Zの係数は0.25と大きく寄与は大きい設計ですが、上がり幅は元の技術職員数や業種、各評価点の幅で異なります。一律の数値は示せないため、現状の計上内容を確認して試算するのが適切です。
Q. CCUSに登録すると経審のW点は上がりますか?
A. CCUSは経審のW(社会性等)の加点対象です。加点の有無や点数は国土交通省の経審告示・CCUS資料で要確認で、登録すれば次回受審から反映される余地があります。
Q. 経審の評点を上げる対策はいつまでに行えばその年の審査に反映されますか?
A. 審査基準日(原則として申請直前の事業年度終了日)時点の状態で審査されます。Y・X2など決算書ベースの項目は決算確定前に、技術者確保は審査基準日から逆算して着手する必要があります。
まとめ
経審の総合評定値(P点)は、X1・Zが各0.25、Yが0.20、X2・Wが各0.15のウェイトで構成される加重平均です。行政書士が顧客に提案できる改善ポイントは、ウェイトの大きいZ(技術力)と着手しやすいW(社会性等)を中心に、決算前のX2・Y対策を税理士と連携して組み立てるのが優先順位の基本になります。
重要なのは、決算書ベースの項目は決算前、技術者確保は審査基準日からの逆算という時間軸を外さないことです。顧客の決算月・審査基準日・技術者情報を一元管理し、毎年の受審サイクルで継続的に改善提案できる体制づくりが差別化につながります。建設業許可業務全体の中での経審の位置づけは〔建設業許可業務の年間実務マップ〕(/blog/kensetsu-kyoka-jitsumu-guide)を参照してください。

経審の改善提案を、毎年のサイクルで。
建設業許可HUBは、技術者情報・決算月・経審スケジュールを一元管理し、P点改善提案のタイミングを逃さない行政書士向けクラウドCRMです。
月額2,980円 (税込・6名以上、1〜5名は4,980円/名)から。14日間の無料トライアルで全機能をお試しいただけます。
クレジットカード登録不要
関連記事
- 〔経営事項審査(経審)の実務ガイド〕(/blog/keishin-jisshu-guide)——経審の審査項目・申請の流れ・年間スケジュールの全体像
- 〔建設業許可業務の年間実務マップ〕(/blog/kensetsu-kyoka-jitsumu-guide)——建設業許可業務全体の俯瞰
まずは無料で製品を体験してください
顧客企業・案件管理、期限自動リマインダ、都道府県別様式の書類作成までこれ1つで。
月額2,980円〜。


